KAORI INTERVIEW 2008 Pages | 1 | 2 |

Kaori Mayaguchi  INTERVIEW
間屋口香 25歳  3度目のグランドチャンピオンを獲得。 そして、選手引退宣言。その想いは…?
Interview & text by Meiko Shinomiya

今や日本を代表するロキシーガールでもあり、国内のサーファーガールズたちの憧れの的である間屋口香プロ 。
地元四国を始め、全国の多くのキッズサーファーたちにもに多大な影響を与えて来た彼女が、今年の10月に行われたJPSA最終戦で自身3度目のグランドチャンピオンを獲得し、選手としての引退を宣言した。JPSAプロサーキットツアー戦歴6年、まだサーフィン選手としては中核の年齢層ともいえる25歳にして、彼女が自ら下した決断。その想いは何だったのだろうか? 彼女がこれまで戦って来た国内の大会JPSAや海外でのWQSなどを振り返りながら、その想いを語ってもらった。

Q. まずは、3度目のグランドチャンピオンおめでとう! 
早速ですが、この間終わったばかりの宮崎で行われた2008年度JPSAの最終戦について教えてください。

自分の中で最後の大会だと決めていたのですが、特別に「最後だからがんばらなきゃ」というような意識はまったくなかったんですよ。ものすごく平常心を保つことができました。しかも、今回の大会はひとりで行ったんですよ。いつも試合のときは、家族や友達と一緒だったのですが、今回の大会は自分にとって今までの大会の“まとめ”というか、自分が取り入れてきたことを出し切れるようにしたかった。たぶん集中しようとしていたのでしょうね、だからひとりで行くことにしました。

Q. 四国・生見で行われた第4戦で、その前までカレントリーダーだった橋本小百合選手が怪我のため欠場、そしてランキング2位だった谷口絵里菜選手がクォーターファイナルで敗退したため、3位だったあなたにグランドチャンピオンの可能性が出てきたわけですが、もちろんそれを狙ってという気持ちもありましたよね?

それがまったくなかったんですよ(笑)!  本当に棚ぼたです。奇跡って感じです。 ポイントを見ている限り、99%私のグラチャンはないと思っていました。確かに可能性はありましたけれどもね、でも1%だし…、全然気にしていませんでした。 逆にそれが変なプレッシャーにならなくてよかったわけですね? そうかもしれないです。家族からも、「グラチャンなんてとれるわけないんだから、まあ気楽に行ってこいや」なんて言われていましたから(笑)。

Q.2008年度を振り返ってみて、今年はどういう戦略で戦ってきたと思う?

年初めには今年いっぱいでやめようと考えていたので、悔いがないように、そして楽しんでいこうということを心がけていました。そんなに大会を意識していなくて、むしろ、いい波を追いかけようということに重点をおいていました。

Q.2年ぶりのグランドチャンピオンだよね? 去年と比べて自分の調子としてはどうだった?

サーフィンの調子はめちゃくちゃいいですね。なんでだろ…? 今まで選手としてやってきた中で、大会のための練習だから悪い波でもやらなきゃとか、ビーチブレイクでも練習しなきゃとか、そういった自分自身に課していた負荷を去年の終わりくらいから一切取り払ってきて、とにかくいい波でサーフィンするってことに集中したんです。それがよかったのかも。それで、サーフィンの調子がよくなったのかもしれません。なにより、楽しいし!

Q.ということは、そういう風に意識して練習したのは、今年が初めてだったってことですか?

大会をやめようと考えていたのは2年くらい前からなんです。プロになったとき(2002年)時点ですでに、いずれはコンペをやめよう、長くは続けないなと思っていました。もともと、性格的にコンペが好きではなかったというのが大きいでしょうね。それよりも、純粋に「サーフィンを楽しみたい!」という気持ちの方が大きかったんです。

Q.では、その限られた選手年月の間に何を達成しようと考えていましたか?

大会でやらなきゃいけないと思っていたのは、やっぱり成績を残すことですね。あと、世界を回ること。WQSも2年やったので、それで十分かな、見えたかなと思いました。

Q.これからは世界の大会にももう出ないの?

できるならば出たいですけれども、やはり金銭面が厳しいので。それに国内のメディアでは、QSで成績を残しても、結局はJPSAの方が大きく取り上げられたりして、自分としてはあまりモチベーションが上がらないというのも正直ありました。そういうのを経て、大会で勝ちたいという気持ちが次第に薄れてしまっていたんですよね。3年前くらいからかな。そのときに、もう私は大会はやめた方がいいなと自分で思いました。

Q.大会の勝ち負けにこだわらないというのは、もともとの性格なのかな?


そうです。人前に出るのもあまり好きじゃないですし、勝ったからといってパーティをしたりするのも実は全然好きじゃないんです。 そういうのが好きな選手もたくさんいるから、あまり大きい声では言えないですが(笑)…。たぶん、私の家族自体が「大会に勝ったからっていって、何?」といった感じだからだと思います。それを受け継いだんでしょうね。だから、本当に勝つことにはこだわっていませんね。








Q.大会を回って学んだことは何ですか?

コンペをやってきたことは、すごくよかったと思います。そこで得られたものはたくさんありました。まず、サーフィンが上達したこと、そして人との出会いでしょうか。いろんなところに行っていろんなものを見て、いろんな人に出会って…。そういう出会いはプロサーファーならではの経験だし、恵まれていると思います。あとは、グラチャンを獲ったり大会で優勝したりしても自分の人生が変わるわけではないということを学んだことかな。何が一番大切なのかということがわかった気がします。やるからには一生懸命やって、応援してくれている人たちもいたので、そういう人たちや家族からのサポートに対して感謝の気持ちが持てたこともよかったなと思います。サーフィンも大会も、自分ひとりではできないですからね。人の温かみをありがたく感じていました。

Q.「勝つ」ってどういうことだと思いますか?

勝つというのは、ライバルとか人に対して勝つのではなく、自分のサーフィンが上手くできたから「勝つ」のだと思っています。でも、勝ったからといって、幸せになれるものでもないと。

Q.試合で勝つということは、そのときの自分のサーフィンの調子だけではなく、他のいろんな要素に左右されてくるから、ものすごく悔しい思いをしたこともいっぱいあると思うけれども、どうですか?

そうなんです! 負けて悔しくなっている自分自身に腹が立ったりもしていました。自分の本心では「ただ単にサーフィンをしたい」というピュアな気持ちだけのはずなのに、試合で無駄なストレスを抱え込んでしまっているというのが嫌でしたね。いざ、大会を引退することになって、まわりのみなさんからは「もったいない」と言われたのですが、私にとっては「単にサーフィンをしたい」という気持ちを抑えている方がもったいないと思ったんです。

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